「がん」になるって、どんなこと?

「がん」になるって、どんなこと?

大学病院のがん専門医による、がん教育活動の記録です。

早期がんを見つけるために...

 それでは、どうすれば、がんを早期のうちに見つけることができるのでしょうか?

がん患者さんに対して、がんを発見した経緯をおたずねした調査があります。 f:id:doctor-teacher:20170130203555j:plain

自覚症状が出現したため、医療機関を受診して発見された患者さんが47.2%、住民検診あるいは職場検診で発見された患者さんが31.9%でした。自覚症状が出るまで、検査を受けない方が相当数いらっしゃることが伺えます。

さて、検診に行くのと、症状が出てから受診するのでは、どのような違いがあるのでしょうか?

各がんごとに、発見経緯とがんの進行度の調査を行った別の研究があります。

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早期がん(上皮内がん+限局がん)の割合は、全てのがんで、検診群が、受診群(検診以外の発見経緯)よりも、ずっと高いようです。

以前の記事で、早期がんのうちにがんを見つければ、9割以上が治るとお伝えしましたが、早期がんを見つけるためには、検診を受けた方が有利なことは、明らかですね。

 

 

少し進行した、領域がんの5年生存率は...

がんを完治させる条件が早期発見・早期治療だなんて、偉そうに言うと、
 「なんだ、そんなの当たり前じゃないか!」とか、
 「結局、偶然に発見されるぐらい早期じゃないと、助からないのでしょう?」と、
すぐに反論されそうですね。

実際にはどうなのでしょう?

前述の国立がん研究センターがん対策情報センターのデータでは、限局がんの5年生存率は軒並み90%を超えていましたが、さらに進行した場合のデータも明らかにしています。

領域がん、つまり、がんが、隣接する臓器に浸潤していたり、すぐ近くのリンパ節に転移しているような、少し進行したがんの5年生存率は、次の通りです。

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この数字を見て、どう思われますか?

もちろん、限局がんよりは生存率は下がりますが、それでも、決して低くはありません。
全てのがんを総計したデータでも、限局がんの5年生存率は88.9%と極めて良好でしたが、領域がんでも、52.1%と、やはり半分以上の患者さんは5年間生存しています!

がんは、多少進行していたって、すぐに命を失うような病気ではないんです。

がんは、早期発見・早期治療すれば、治る病気です!

がん患者さんの6割は治るって、一般の方々にはあまり知られていない、驚きのデータですが、残念ながら、どんな臓器の、どんなステージのがんでも6割が治癒する、という訳ではありません。手の施しようのないがんもたくさんあります。

それでは、どうすれば確実にがんを治せるのでしょう?

絶対に必要な事が1つあります。 早期発見、早期治療です。

がん検診の案内などに、「早期発見が重要です!」なんて書いてあるのを目にしたことはありませんか?下の表は、がん病変が大きく拡がったり、転移をしたりしていない、限局がんの5年生存率です。          

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ほとんどのがんで、5年生存率は90%を大きく超えています。乳がんや前立腺がんは、ほぼ100%です。難治がんと言われる肺がんだって、早期に見つけて治療すれば、5年後も8割近くの方が、お元気なのです!

「じゃあ、みんながどんどん早期発見すれば、がんで死ぬことはなくなるのでは?」って思った鋭いあなた! 素晴らしいです! その通りです!