「がん」になるって、どんなこと?

「がん」になるって、どんなこと?

大学病院のがん専門医による、がん教育活動の記録です。

【11月14日(火)】愛知県東海市立名和中学校で授業をしました!

愛知県東海市名和(なわ)付近には古代からの神話が伝承され、日本武尊にゆかりのある古墳が数多く見られます。地名も由緒ありそうな名前が多く、東海道本線の大高駅から乗ったタクシーの運転手さんが、こんな素敵な話をしてくださいました。

*** 日本武尊は、大和朝廷の命を受けて、東国遠征の旅に出た際に、波静かな伊勢の海を渡って、知多の海岸に船を着けました。「ちょうど良いところに松がある。ここに船をつないでおこう。」と、縄で船を松の木にしっかりとつなぎとめました。そして「縄で船をつないだところだから、ここを『なわ』と名付けようではないか。」と日本武尊がおっしゃったことが、古代から伝わる名和の地名の由来なんです。***

なんか壮大なお話ですね。

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今回その名和(なわ)中学校からご依頼があり、がんの授業をさせていただきました。学校保健委員会の講演の形ですが、全校生徒と保護者の方に体育館までご参集いただき、一時間の授業です。

肌寒い日だったので、体育館の床に体育座りの生徒たちが少々気の毒でしたが、皆さん静かに授業参加してくれました。私の質問に対しての生徒からは、土地柄か思いやりに溢れた回答が多く、古き良き日本がそのまま残っているような気がしました。

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授業後、養護教諭の土平先生から、暖かいメールを頂戴したので、以下に転載します。名和中の皆様、誠に有難うございました。

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林先生

先生のお話、とても心に響くものでした。もっと保護者や地域の方々にも声をかけるべきだったと悔いています。生徒には、会の後に振り返りを書かせたのですが、家族や友だちの立場にも置き換えて話を聞くことができたようです。また、「家族にがんのことを話した」、「親がたばこをやめてくれない・・・」などと話をしてくれた生徒もいます。彼らなりにいろいろと思いを巡らせているようです。先生がおっしゃってくださったとおり、温かい心を持ち合わせた子どもたちなのだと改めて実感しました。先生の嬉しいお言葉につきましても、教師として励まされた気がします。名和中の職員一同、地域や家庭と連携を図りながら,子どもたちを大切に育てていきたいと思います。

お忙しい中、ますます活躍されることと存じております。どうかお身体だけはお大事にお過ごしください。今回は,思いのこもったお話を本当にありがとうございました。

東海市立名和中学校 土平季絵
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【11月12日(日)】第14回九州思春期研究会で講演しました!

九州思春期研究会は、平成16年に結成された比較的あたらしい研究会ですが、思春期の諸問題にかかわる様々な職種、立場の方々の繋がりが重要であるとして、「縦」の連携には助産師医師、保健師、保育師、幼稚園養護教諭、教師、などの連繋、「横」の連携には、教師、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、医師、保健師、助産師、人権擁護委員、主任児童委員、各種施設従事者などが結局的に活動しています。現在は創立時からの中心メンバーである福岡県立大学の松浦賢長教授が会長をされています。

kyusiken.main.jp

今回は、松浦先生からのご依頼を賜り、「今、あらためて見直す生活習慣 ~睡眠とがんとYouTube」というテーマで開催された第14回研究大会の午後の講演として、私が120分の長時間講演をさせていただきました。松浦教授は、福岡県のがん教育推進委員会の委員長もされており、この講演の二日後には、200名を集めての大規模ながん教育指導者研修会も開催される予定と伺いました。まさにがん教育先進県にふさわしい充実ぶりです。

会場は福岡大学病院メディカルホールでした。福岡大学は市営地下鉄七隅線福大前駅に直結した、素晴らしいキャンパスをお持ちですが、大学病院の一角に、最新設備を有する美しいホールがあります。

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午前中の講演では、久留米大学医学部神経精神医学講座の内村直尚教授が、「思春期と睡眠 ~眠らない子どもたちへ~」というテーマの現代的課題について講演されていましたが、会場には、思春期教育を真剣に考える若い世代を中心に、非常に多くの聴衆が集まって下さいました。

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松浦教授には、自分から2時間という最長クラスの講演をさせていただくようにお願いしたのですが、当初は自分でも皆さんが飽きずに聴いて下さるか少々不安でした。しかし講演を始めて3分もしないうちに、皆さんの熱い視線と熱気を感じ、そんな不安は消し飛びました。120分があっという間で、講演後も質疑応答をいつまでも続けたい衝動に駆られるくらいの素敵な体験でした。

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講演後、会長の松浦教授と理事の梶原先生、そしてその他多くのスタッフの方々と記念撮影させていただきましたが、若い皆さんの熱気がそのまま伝わってきそうな写真を頂戴しました。充実した講演をさせていただき、心から感謝申し上げます。

 

【11月11日(土)】夕方から博多のがん患者会『がん・バッテン・元気隊』で講演しました!

午前中に中川中でも授業をして、そのままの足で福岡に飛んで、博多のがん患者団体『がん・バッテン・元気隊』で講演しました。ganbatten.info

2008年、博多どんたく港まつりにパレードで参加した「がん・バッテン・元気隊」と名づけた異色のどんたく隊が、この患者会のルーツだそうです。「がん・バッテン・元気隊」は、福岡市内12団体の運営者からなる運営委員会と事務局で構成され、団体間の連携を図りながら,情報誌制作・ピアサポート講座・サロン運営・各種講演会などを企画実践しています。厚生労働省の緩和ケアの検討会でご一緒して以来親交のある波多江さんが、この元気隊の代表をされています。今回の講演の受付風景ですが、黄色いジャンパーを着ておられるのが元気隊のスタッフの方々です。

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がん教育の先進県である福岡県では、キャンサーサポートという患者会の方々とがん専門看護師などの医療従事者が中心となって、すでに年間140校ものがん教育を行っているそうです。この日は、福岡近辺のがん患者会の皆さんはもちろん、行政や教育委員会の皆さんも合わせ、43名の方々にご来聴いただきました。

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この講演では、なぜ今、学校でのがん教育が必要なのか、なぜ私ががん教育に傾注しているのか、実際に学校でどのような授業を行っているのか、などについてお話しました。講演後は参加者の皆さんと具体的な課題について、たくさんの議論をさせていただきましたが、実際にがん教育を行っている方々が多かったので共通の課題も多く、私自身も大いに勉強させていただきました。

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福岡県では、全県に一斉展開するための外部講師の手配や、教育内容の標準化など、がん教育先進県ならではの具体的な課題が生じているようでした。がん教育はいまだ黎明期であり、全国的には東京のように協議会ができたばかり、といった都道府県が多いと思います。ぜひ全国に向けて、情報や経験の発信をお願いしたいです。