「がん」になるって、どんなこと?

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「がん」になるって、どんなこと?

大学病院のがん専門医による、がん教育活動の記録です。

小林校長③

豊島区学校保健会便り』には、がん教育を推進していた小林校長が、ステージ4のがん宣告を受けてからのことが、極めて冷静に記されています。私は校長室で、もっと詳しく、経時的なお話まで伺っていたのですが、彼の話を聞いているうちに、だんだん落ち着かなくなってきました。興奮していたのかもしれません。

なぜなら小林校長の話には、がん患者さんが勇気を持って前向きに生きていくためのヒントや、がん医療者の心得になるような、けだし名言が、信じられないくらいに、てんこ盛りだったのです。

この話を自分一人で聞いているのはもったいない!、大学病院のスタッフにも、自分の患者さんたちにも、ウチの家族にも、近所の友人にも、みんなに聞いて欲しい、聞かせたい!、と強く思いました。

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昨年末の3ヶ月にわたる入院中に病室で撮った写真をいただきました。許可を得て、公開させていただきます。医療者に励まされながら、とご本人は謙遜されますが、辛いことを跳ね返して、明るく、そして力強く闘病する姿が窺えます。

長期入院で抗がん剤治療と放射線治療を行い、通常であれば、心身ともに消耗しきっている頃の写真なのに、小林校長は全くそんな素振りを見せませんでした。同室の患者仲間や医療者をも巻き込んで、常に笑いの絶えない病棟を作り上げたそうです。

ある肺がん患者さんはいつも暗い顔をしていたのですが、ある時「あんたは元気でいいよなぁ。軽い病気なんだろ?」と聞かれたので、「いいえ、私はステージ4の肺がんですよ!」と答えたら、目を丸くして仰天したそうです。「病気を治して貰うために入院したんだから、自分でも治そう、治ろうと思いましょうよ!」と毎日励ましているうちに、その患者さんに笑顔が戻って、とても仲良しになった、と小林校長は笑いながら教えてくれました。

自分自身を鼓舞する患者さんは珍しくありませんが、周囲まで変えていくような患者さんはほとんどいません。病棟看護師にも慕われて、ついに彼女らと交換日記までするようになったそうですが、さもありなんと思いました。こんな患者さんを応援しない医療者がいるはずはありません。私自身も共感して、思わず涙してしまいました。

私はがんの授業を終えたばかりにもかかわらず、思いきって、『小林校長の経験やお考えは、この学校の生徒はもちろん、保護者や学校職員、地域の方々などにとって、計り知れない価値がある。出来るだけ多くの人にお伝えしたいので、新年度早々にも、私と二人でがんの授業をしませんか?』、と提案しました。

小林校長は二つ返事で『やりましょう!』と言い、櫻井先生をお呼びになって、すぐに日程調整を始めました。

こうして、明豊中学校の平成29年度の道徳地区公開講座が、がん医療を中心テーマにして、5月13日に行われることが決定しました!