「がん」になるって、どんなこと?

「がん」になるって、どんなこと?

大学病院のがん専門医による、がん教育活動の記録です。

学校に行こう!と決めたけれど...②

 「こどもたちに直接がんの話をすることができるんだ!」と思うと、あれも話したい、これも伝えたい、などと、きりがありませんでした。自分の授業を聞いてくれている子供たちの、澄んだ瞳を勝手に夢想したりもしていました。いま考えると、ほんとうにお花畑状態でしたが、区内の29名の養護教諭が全員集まると聞き、「一体いくつの学校が手を上げてくれるだろう?」と、軽い興奮を覚えながら、配付資料も念入りに作成したことを覚えています。

さて、プレゼンの日がやってきました。6月の末というのに、日差しが強くて、プレゼン開始時間の午後3時には、汗ばむような陽気でした。私は嬉々として大学病院近くの区立小学校に向かい、待ち合わせをした教育委員会主事の方に案内されて、図書館の一角に通されました。

f:id:doctor-teacher:20170209134951j:plain主事の方に軽くご紹介をいただいた後、私は満面の笑みを浮かべながら、おもむろにプレゼンを開始しました。これまで、たくさんの学会発表や講演をしてきましたから、人前でお話することは苦になりません。

なぜ学校でがん教育を始めたいのか、どんなことを伝いたいのか、子供たちにどうあって欲しいのか、文部科学省はどう考えているのか....など、自分の熱い思いを一気にお伝えしました。

ところが、プレゼンを初めてすぐに、異様な雰囲気に気が付きました。養護教諭の先生方の表情がすごく硬くて、険しいのです!

f:id:doctor-teacher:20170209131703j:plain

中には、私が話している最中に、「ちょっと、この人何がしたいの?」、とか、「そんな暇あるわけないじゃん!」、「意味わかんない!」などと、小声でささやきながら、あからさまに私の提案を拒絶している先生たちもいました。

f:id:doctor-teacher:20170209131720j:plain

 「!?...????」

悪夢でした。プレゼンが終わった後にも、寒くて重苦しい雰囲気があたりに充満していました。病院や大学の会議でも、ここまであからさまに自分の提案を拒絶された経験はありませんでした。

結局、がん教育の実施には、だれの手も上がりませんでした。

一体どうしたらいいのだろう......私は思いきり打ちのめされました。                          

           f:id:doctor-teacher:20170209135513g:plain