「がん」になるって、どんなこと?

「がん」になるって、どんなこと?

大学病院のがん専門医による、がん教育活動の記録です。

いざ、学校へ!③

正直言って、私はその時初めて、自分がいかに教育というものに無知であったことに気がついて唖然としました。当たり前のことなのですが、学校の先生は日常会話の延長や思いつきで授業をしているのではありません。個々の児童・生徒に目を配り、どんな内容をどうやって教えるべきか、どうすればこどもたちが興味を持つのか、どんな教材を用いるか.....etc を、プロの目で考え、準備をしています。

子どもたち相手に本格的に授業をするためには、教育に対する専門的知識や経験が不可欠です。医学生相手の授業は、どちらかというと義務感でやっていましたが、私がやっていたことは、教育とはほど遠く、単なる情報提供だったことに気づきました。

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しかし子どもたちへの授業には、逆に大いなる意欲をもって臨んでいました。いろいろ考えたのですが、将来の日本を背負っていく子供たちに、責任もって授業をするためには、自分自身が教育学を学ぶべきだと強く思うようになりました。

しかし教育を学びなおす、と言っても、書店で売っている本を買って読むぐらいではどうにもなりません。学校の先生たちは、教育学部卒の方はもちろん、教職課程をとって学んだ方だって、相当量の勉強をされたはずです。なんとなく自分自身でも、煮え切らない気持ちをもったまま、しばらく時が過ぎました。

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そんなとき、とある教育関係の公務員の方とお話ししている時に、『林先生、同じ先生と言っても、教師と医師では全く違うんですよ。先生に教師のことはわからないと思いますよ!』と、突き放すように言われてしまったのです。

私はそれを聞いて、ハッとしました。そうなんです。私は彼に仲間のつもりで話をしていたのに、彼は全く違う土俵にいたのです。当たり前のことなのですが、私はなぜかそれがすごく悔しくて、思わず「じゃあ、もし私が教員免許をとったら、仲間として話をしてもらえますよね!」とすぐに切り返しました。彼は苦笑いをしていました。

 

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数日間考えたのですが、週末の晩御飯の際に、妻に切り出しました。

「通信大学に入学しようかな。。。」
『何の?』
「教育学部に行って、教員免許取るの。」
『あなたのやっているがん教育は、教員免許がないとできないの?』
「いや、別に全く必要ないよ。」
『じゃあ、なんで!?』
「教育を学び直したいんだ。」
『本とかネットじゃ、駄目なの?』
「先生たちともっと対等に話をしたいから、同じ土俵に立ちたいんだよ。」
『ふ~ん、じゃ、好きにすれば....』
「ありがとう。申し訳ないけど、2-3年の間、お休みがほとんどなくなります。それから毎年学費が・・・・かかります。。。」
『!?!?!?え~~~~!?!?!?』

 

こうして私はなんとか無事に(!?)、通信課程の教育学部に入学することができました!