「がん」になるって、どんなこと?

「がん」になるって、どんなこと?

大学病院のがん専門医による、がん教育活動の記録です。

【7月8日(土)】中野区立向台小学校で授業をしました。

中野区立桃園小学校は、創立81年の区立小学校ですが、近年の少子化の影響を受け、児童数は減少して、現在は全校生徒が200人ちょっとしかいません。平成31年度からは、隣接する創立142年の桃園小学校と統廃合して、現在地で新たな小学校として生まれ変わる予定だそうです。

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私は中野区生まれで、同じ中野区立の桃園第二小学校卒業ですから、中野区は故郷でもあります。時代の流れとはいえ、次々に小中学校が統合されていくのは、なんとも切ない思いで一杯です。今回は、私のことをお聞きになった、私と同じ年の中村明子校長先生から、高学年を対象に是非がんの授業をお願いします、とのご依頼を賜りました。

事前に学校に打ち合わせに伺った際に、児童への授業前アンケート調査をお願いしましたが、その結果を拝見すると、向台小の子どもたちは、がんに対して既に相当の知識を持っているようでした。

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5,6年は単学級なので、2学年合わせても60人あまりの児童数でしたが、図書室に行ってみると、人なつこい笑顔の児童が多く、とても温かい雰囲気で私を待っていてくれました。この日は1,2時間目の2コマの授業時間を頂きました。

まず第1校時には、私ががんの基礎知識について伝えました。導入では、今外すことの出来ない、小林麻央さんの写真のスライドから話を進めたのですが、予想通り、子どもたちはスライドを出したとたん、口々に「麻央ちゃんだ!」、「あ~、この人知ってる!」などと反応していました。やはり、マスコミの威力は、良い意味にも悪い意味にも絶大です。

残念ながら麻央さんは亡くなってしまったけれど、実際には、がんになっても治っている人の方がずっと多いんです、と伝えた時に、最前列の女の子が、「え~、そうなんだぁ!」、とびっくりしたような顔で言ってくれたことが、とても印象的でした。

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授業の合間の休み時間にも、子どもたちが質問の行列を作ってくれました!奥にいらっしゃるのは、中野区教育長の田辺裕子先生です。この日は最初から最後までご参観頂きました。 田辺先生、ありがとうございました! 是非近いうちに、中野区の全小中学校で、がん教育導入をお願いします!

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第2校時には、『がん患者さんには、どんなつらさがありますか?』、そして『大切な人ががんになったら、あなたはどうしますか?』という、2つの問いかけに対するグループワークを行いましたが、向台小の子どもたちはとても集中して、実に洗練した議論をしてくれました。もともと優しい子どもが多いのかもしれませんが、発表してもらうと、それはそれは思いやりに満ちた解答ばかりで、私は授業をしながら、ほっこりしっぱなしでした。この子たちは、きっと将来は優しさに満ちた人生を送ってくれると確信しました。

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向台小学校の皆さんは、本当に素直ないい子たちばかりでした。
授業をしていて、すごくやりやすかったです。これもひとえに、先生方の普段のご指導の賜だと思います。授業後にも質問攻めに遭いましたが、こんな素敵な子どもたちが、がん教育を通じて、さらにもう一回り大きくなってくれたら、私は本当に幸せ一杯です。