「がん」になるって、どんなこと?

「がん」になるって、どんなこと?

大学病院のがん専門医による、がん教育活動の記録です。

【7月27日(木)】日本臨床腫瘍学会のがん教育のシンポジウムで発表しました。

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神戸コンベンションセンターで開催された、第15回臨床腫瘍学会のシンポジウムで発表しました。このシンポジウムは、日本臨床腫瘍学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本対がん協会の合同シンポジウムです。

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まず最初に文部科学省初等中等教育局の北原加奈子学校保健対策専門官が、『学校における「がん教育」~文部科学省の取組~』という演題で、国のこれまでのがん教育政策をサマライズされました。

次いで、国立がん研究センターがん対策情報センター長の若尾文彦先生が、『がん教育におけるがん診療連携拠点病院等の役割』という演題で、これまで全国で行われてきたがん教育の実態を、拠点病院の年次報告から割り出すという、非常に興味あるご発表でした。若尾先生からは、がん拠点病院の指定要件にがん教育を義務化することで、拠点病院にがん専門医たちががん教育に向かう後押しになるのではないかというご提案があり、非常に心強く感じました。

また、私はこのところ、日本対がん協会の本多昭彦氏と共に学校に伺うことも多いのですが、本多氏からも、『日本対がん協会におけるがん教育の取り組み』として、これまで日本対がん協会が行ってきた、がん教育事業のすべてをご紹介いただきました。

皆さんは、日本対がん協会の活動資金は、全て寄付で賄われていことをご存知でしょうか? がん教育についても、2009年に「がん教育基金」を立ち上げておられます。欧米とは異なり、寄付文化も優遇税制もないわが国で、寄付のみでこれだけの活動をしてこられた日本対がん協会には、もっと多くの支援が集まってしかるべきだと思います。

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私はがん教育を実践している立場から、授業の動画をお見せしながら、実際に何をどのように教えているか、現場ではどんな問題点があるか等、プレゼンしました。

日本癌治療学会の社会連携・PAL委員会委員長である、相羽惠介先生は、『学会の立場から考える 学校における「がん教育」』というご発表で、様々ながん専門医がいるが、幅広く全国に存在する、がん治療認定医が、がん教育の担い手としてふさわしいのではないか、と発表されていました。

確かにがん治療認定医は、それなりの知識や経験のあるがん診療医たちですし、現時点で15000人以上のマンパワーが期待できるならば、あとは医師が外部講師として学校に行ける環境作りをすれば、全国レベルでの体制に大きく寄与できる可能性があると思いました。

皆さんの熱いご発表の後に残されたディスカッションの時間は十分ではありませんでしたが、岡山大学の西森久和先生が見事な司会をされて、会場からの質問から、がん教育の現状や課題を浮き彫りにしてくださいました。全国どこでも、まだ模索中と言えると思います。

最後に日本癌学会理事長の宮園浩平先生から、がん教育が大きな意義があることは明らかであり、学会や行政、教育委員会などが結集して、国ぐるみで推進していくべきだとの結語がありました。

6月の日本緩和医療学会の際にも感じましたが、がん教育について、明らかに去年までとは違う風が引き始めています。本当に有難いことですが、この機会を逃さずに、しっかりと組織づくり、システム作りを重ねて、子どもたちにできるだけ質の高いがん教育を届けられるようにしたいと思います。皆様、是非ご一緒しましょう!