「がん」になるって、どんなこと?

「がん」になるって、どんなこと?

大学病院のがん専門医による、がん教育活動の記録です。

早期がん、とはいうけれど.....

1個のがん細胞は、1mmのさらに100分の1以下の大きさですが、分裂を重ね、指数関数的に増殖します。ところが、最新の内視鏡や超音波、CT、MRIなどの最新機器を用いても、われわれ専門家が発見しうる最小のがんは、一般的には直径1cm、重さにして1g程度の大きさです。

まだ1cmなら、ごく早期なんだろう、って思いますよね?
ところが、がん細胞の立場で考えると、全く違うんです。

私たちにとっては、わずか1cmの腫瘤ですが、顕微鏡で見ると、そこには10億(10の9乗)個ものがん細胞が存在します。そして、1個のがん細胞は、10-20年という年月をかけて、1cmの腫瘤(しこり)になるとされています。

ところが、がん細胞が1兆(10の12乗)個、Kgの重さまで増殖すると、われわれは生きていくのが難しくなります。

ここで、学生の時、数学の授業で勉強した、対数の概念を思い出してください。
がん細胞の増殖を、実感をもって理解していただくために、数字で表してみます。

1個→ がん発生!
10個
100個
1,000個
10,000個
100,000個
1,000,000個
10,000,000個
100,000,000個
1,000,000,000個→ 10億(10の9乗)個(早期がん)
10,000,000,000個
100,000,000,000個
1,000,000,000,000個→ 1兆(10の12乗)個(生存困難)

いかがでしょう? 

がん細胞が発生してから、早期がんで見つかるまでに対して、早期がんが増大して、私たちの命を脅かすようになるまでの期間の方が、ずっと短いことがお分かりいただけると思います。

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そして重要なことは、私たちは、このごく短い期間のうちにがんを見つけなければ、がんとの戦いに負けてしまう、という事実です。