「がん」になるって、どんなこと?

「がん」になるって、どんなこと?

大学病院のがん専門医による、がん教育活動の記録です。

【11月21日(火)】新宿区乳がん体験者の会『るぴなす』で講演しました!

新宿区乳がん体験者の会『るぴなす』で講演しました。全国各地にがん患者会はありますが、自治体が直接支援している患者会は少ないと思います。今回の勉強会の会場は新宿区四谷保健センターの3階ホールで、保健師の美谷さんからご依頼をいただきました。

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患者会やがんカフェで、がん経験者の方々にお話することはよくあります。このような場を使って、医療者相手に病院では言えないことや聞けないことを、ぜひ吐露していただきたいと思っていますが、今回は逆に経験者の皆様が、がん教育についてどのようにお感じになるかを知りたくて、皆さんに現状をお伝えして意見を伺いました。

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講演後のざっくばらんな話し合いの場では、がん教育に対しては肯定的な方がほとんどだったので安心しましたが、『私はたばこもお酒も飲まないし、生活習慣にも人一番気を付けていたのにがんになったので、がん=生活習慣みたいな話はしないでほしい。』という貴重なご意見をいただきました。

実際にこのことは、がん教育の場でしばしば問題になっています。私も常に留意しており、授業では必ず子どもたちに『いくら生活習慣に気を付けても、生活習慣とは無関係に生ずるがんも半分あって、これは避けようがありません。』、と説明しています。さらに小児がんについても、同様の誤解が生ずる可能性もあり、がん=生活習慣病という分類は再考の余地があるのは明らかです。

生活習慣病は以前は「成人病」と言われていました。これは旧厚生省が1955年頃から使いはじめた概念で、40歳から60歳の働き盛りの人々に発生率が高い疾患を指し、脳血管障害、悪性腫瘍、心疾患、糖尿病、痛風など慢性疾患をさすとしていました。しかし成人病の罹患に長年の生活習慣が大きく影響していたことが判明したため、1997年頃から、「成人病」を「生活習慣病」へと呼称を見直した、という経緯があります。

少なくともがん教育の場では、『生活習慣の乱れ=がんの原因』ではなく、『正しい生活習慣を守る=がんの予防』というように教えるように、教育内容を統一すべきだと改めて思いました。

今後もこの点は強くアピールし続けます。

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